新生児の吐き戻しが頻繁に、あるいは大量に起こる場合、最も注意すべき合併症の一つが「脱水症状」です。赤ちゃんは大人に比べて体内の水分量が体重に占める割合が高く、また、体液の調節機能が未熟であるため、嘔吐や下痢によって容易に脱水状態に陥りやすい特徴があります。脱水症状が進行すると命に関わることもあるため、吐き戻しがあった際の脱水症状のチェックポイントをしっかりと把握しておくことが重要です。まず、脱水症状の最も分かりやすいサインの一つは「尿の量の減少」です。通常、赤ちゃんは頻繁に排尿しますが、半日以上おしっこが出ていない、あるいは普段よりも明らかに尿の量が少ない場合は、脱水の可能性が高いです。おむつの濡れ具合を注意深く確認しましょう。次に、「口の中の乾燥」も重要な兆候です。唇や舌が乾いていたり、粘膜がカサカサしていたりする場合は、脱水が疑われます。泣いているのに涙が出ない、元気がない、ぐったりしているなども、脱水が進行しているサインです。また、乳児の場合、「大泉門のへこみ」にも注意が必要です。頭のてっぺんにある柔らかい部分が、通常よりも明らかにへこんでいる場合は、脱水が進行している可能性があります。皮膚の弾力もチェックポイントです。赤ちゃんの皮膚を軽くつまんで離した時に、すぐに元に戻らず、しばらく跡が残る場合は、脱水状態である可能性が高いです。さらに、目の周りがくぼんで見える、顔色が悪く青白い、呼吸が速い、脈が速い、手足が冷たいなどの症状も、脱水が進行していることを示唆しています。これらの脱水症状の兆候が一つでも見られた場合は、すぐに緊急外来を受診すべきです。脱水が軽度であれば、経口補水液を少量ずつ頻繁に与えることで回復することもありますが、自己判断せずに医療機関を受診し、点滴など適切な処置を受けることが大切です。吐き戻しがあった際は、これらの脱水症状のチェックポイントを頭に入れて、赤ちゃんの様子を注意深く観察し、必要に応じて迅速な対応を心がけましょう。